2016年2月29日月曜日

人間讃歌

人口爆発中は「人間って素晴らしい」っていう人間讃歌言説がどんどん強くなっていく。強気の相場みたいなもんです。安定の順張り。いろいろボロが出てくると「人間だもの」論がフォローします。押し目買いです。じゃあ人口減少になったらどうなるか。人間バブルが弾けて生き様の質の違いが露呈する。

等身大で生きている人にとって、それは報われやすくなる社会変化です。しかし虚像の物語に頼って影響力をもつ人にとって、それは自分の存在価値を損なう怖ろしい危機です。というか、不自然な社会的意味づけが崩れさって、人物や事物はしかるべき適正な価値評価に見直されるだけなんだけれど。

どんどん見せかけが通用しなくなっていく。その厳しさはこれからが本番だ。いずれは見せかけにしがみつきたい自分を殺さなければならない。自分がいかに見せかけだったのかを直視し、気づけば気づくほど辛くなる。同じように社会がいかに見せかけだったのかを悟って絶望する。執着を手放した人は自分の真実を通して社会の真実を見る。

自分が変わるために、孤独になって行動を起こして、恥をかいて傷ついて、これまでのゴマカシを清算したら、もう自分を許せる。自分を許すことで、他人も社会も許せる。今度は愛せる。もっと深く、本当に。そんな自分を讃えたくなる。自分を讃えることを通して、人間を讃えるんだ。それが、人間として人間を愛した人間讃歌。

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