2013年3月18日月曜日

真理を求めた果てに立つ

人はこの世界を説明しようとしてきました。

自分の内と外を観て、
感じては問い続け、
思考しては試みて。

そうして天地を象(かたど)っている理への理解を深めていきました。


外側の物理現象に対してだけではありません。

自らの身体、
そして精神の内にも理があるということ。
人の生き方と社会のあり方にも理があること。
社会全体も、個々の人生と心のあり様も・・・
幸福という現象へ向かうエネルギーと流れには、やはり理がある。


自然科学と宗教と人間哲学。

いずれも真理を追究したものです。


理に近づくほど個人も社会も機能する。
人・物・事をよりよく、より高く活かすことができる。
そうして理を体現することは喜びを伴っています。
これを探求せずにはいられないのが人間なのでしょうね。


さて。

真理についてよく考えた偉人として、二宮尊徳がいます。
彼は、科学的な見地や諸行無常などの悟りについては「天道」とよび、
人の世で人として徳を積み、誠に生きる道を「人道」とよびました。
天の理と人の理の融合をテーマとして、
それを目指し実践しつづけた人物です。

江戸後期、
一農民だった彼は藩主や役人からその人格の高さと能力を買われ、
数多くの地域再生を託されました。

そして600以上に及ぶ農村の再生を手掛け、
歴史上類まれなリーダーシップを発揮して、
多くの人々を救う偉業を成し遂げました。

人民の人民による人民のための政治、と謳ったリンカーンの台詞は有名ですが、
その同時代を生きた二宮尊徳について、
当時GHQの新聞課長であるインボーデン少佐は重なって見えたようです。

「二宮尊徳翁は、日本のアブラハム・リンカーンである。
自由と民主主義を日本で初めて実践した人物である」

と称えています。


GHQの新聞課長インボーデン少佐(Major Daniel C Inboden)は、
昭和24年10月、日本青年館発行『青年』誌上に「二宮尊徳を語る=新生日本は尊徳の再認識を必要とする」を公表した。その中に次のような記述がある。

「もしあなた方が熱心に真理を求める人であるなら、いやしくも真理に関しては、新しいとか、流行外れだとかいうことはない。真理というものは時代を超越して、つねに、しかも永遠に、生々とした力をもっていることを知るだろう」

「尊徳の事業は、その精神において深遠なものであったが、【武士に非ずんば人に非ず】の封建時代に、農夫に生まれ農夫として立ったため、後で大小の藩から財政立て直しの顧問や、指導者として起用されたが、その手腕を大きく振るったとはいえない。しかし、彼の人格と意志は全国日本人の間にまだ残っているはずである。彼が数ケ町村、あるいは2~3の藩の復興に試みた方法を、今日拡大発展させ、あなた方の祖国日本再建のため用いることは、あなた方の義務であると同時に権利でもあろう。……尊徳二宮金次郎こそは、日本において再認識さるべき第一の偉人であると私は考える」

 

そして、尊徳に次のような賛辞を贈っている。

「近世日本の生んだ最大の民主主義者」
「世界の民主主義の英雄、偉人」
「世界最初の信用組合の創設者」
「日本の現状において再認識さるべき第一の偉人」と。
(二宮尊徳思想論叢Ⅲより)


思うに、占領政策の基本原則の一つReform=改革、重点政策の一つDemocratization=民主化を推進する。すなわち民主主義国家として再生させる。その手本となるべき人物が日本人の中に居るではないか。それは「二宮尊徳」だと認識していたわけである。




そんな人物だからこそ内村鑑三は、
GHQよりもずっと以前に世界へ紹介したい偉大な日本人として彼を著したわけです。

amazonの内容紹介より

内村鑑三は「代表的日本人」として、西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・日蓮の五人をあげ、その生涯を叙述する。

新渡戸稲造『武士道』、岡倉天心『茶の本』と並ぶ、日本人が英語で日本の文化・思想を西欧社会に紹介した代表的な著作。内村鑑三(1861‐1930)が、奔流のように押し寄せる西欧文化の中で、どのような日本人として生きるべきかを模索した書。

日本の精神を知ることができる一冊です。
世界に通用し、時代を超えて通じる彼らは、
日本の精神というより、
人間としての真実を貫く精神、と言った方が良いのかもしれません。



なんだか人間は理を求めるようにプログラムされてるみたいですね。


情熱的な人はいい。

でも情熱だけでは空回ります。
やはり理性がないと。

理性的で情熱的な人、でありたいものです。


哲学や宗教で言われる愛と、
恋愛感情の文脈で使われる「愛」は別ですよね。

「あなたの敵を愛しなさい」

という記述が聖書にあるからと言って、

「敵に好感を持て」
「敵対する人を大好きと思え」

という意味ではないことは当然です。言葉って表面では伝わらないですね。


キリスト教の神学における愛の概念は、アガペー。
理性愛と言われます。

愛といっても、感情ではありません。

敵を愛するとは、
ハートに情熱をもって、高い理性で向き合いなさい、ということ。

それがキリストの生き方のエッセンスであり、
人が人として生きる普遍の理なんです。理の体現なんです。


分かる人には分かるはずです。


二宮尊徳だけでなく、敬天愛人を説いた西郷隆盛、
非暴力主義でインド独立を果たしたガンジー。
新たな時代へ導いた偉人には同様の思想を感じるはずです。


書いてて思います。
真理は大切ですが、
真理を求める態度は、それ自体が尊いものであり、
そのプロセス自体が喜びなのだと、改めて感じます。



人体も地球生態系も宇宙も、
すべては神秘です。
肉体も精神も、人間自体が神秘そのものです。

そんな人間社会の理については未だ暗中模索なのです。

今の時代の常識がずっと続くわけではありません。

にもかかわらず、
時代の真ん中にいると、その時代に流されがちです。
水槽の魚にとって、水槽が何かは分かりません。
分からないまま枠組みに従えば、
不信を募らせ、不安に苦しみ、社会と自分を恨みかねません。
枠組みの正義の欺瞞と胡散臭さに、
憤慨したり絶望したりという反応をしがちです。
「時代の流れ」という幻想を抱いて、加担して、
その流れを現実化しているのは他でもない私たち自身なのですが。

私たちは既に、
このまま流されていては良くないのだと本当は気付いています。

時代を超えて輝いている、
人間として普遍的な精神を、いま一度学ぶ時ではないでしょうか。

いや学ぶというよりも、
自分の内には既にあるのだから、それを呼び起こす時だと思うんです。


この時代を生きる人々にとって、
怖れを生んでいる支配的な世界観の正体は何か。
バランスを欠かざるを得ない、生きる枠組みを形成させている根源とは何か。

もしそれが、お金と資本主義という観念であるのならば、
それに情熱と理性で向き合おうと思うのです。

観念それ自体に向き合うのではなく、
それを象っている人々の心の真実に、情熱と理性で向き合いたい。


だから僕は、
自由と民主主義を体現しただけでなく、
報徳金という無利子金融によって、
人の心とお金の理を活かして
地域社会を再生した二宮尊徳から学んでいるのです。


時代を超えて通用する精神でないと、
新たな時代の礎を創ることはできません。

しかし時代を超えただけでは、人々の怖れを取り除くことはできません。

時代から自立して、時代に立ち向かわなければなりません。



今私たちは、

神の時代でも、
科学の時代でも、
国家の時代でも、
民主主義と自由経済の時代でも、
グローバル資本主義の時代でも、
インターネットの時代でもあるわけです。


僕は思います。

全ては揃ったと。

彗星のごとく現れたインターネットによって、
人格に担保されたまま、情報が精査・流通・蓄積されていく。

これはいわば、
人類全体を一つの頭脳と心だとイメージすると、
脳内の神経回路が爆発的に繋がっていき、
心の波動の障壁が一気に消え去り、一斉に調和と連動を始めた状態です。

言葉と文字の発明。
活版印刷技術による書籍の普及。
通信技術の発展とインターネット。


理性ある真実の情報と、
情熱ある心の波動が届きやすくなるほど、
人類は叡智を発揮してきました。
文明と社会の在り方を高めてきました。


哲学と宗教も、言語と文字があったからこそです。
自然科学も、民主主義と自由主義経済も、書籍の流通と蓄積があったからこそです。
スピリチュアリティの広がりも、インターネットがあったからこそです。


人々の理性と情熱が、
地球規模のスケールでこれほど緊密に行き交う時代は初めてです。


混沌としていた全てのピースは、
急速に膨張するように見えて、
実は加速的に整理されている最中です。


最後のピースは、
神でも国家でも経済システムでもありません。


人間です。

そして自分自身です。


もう何かの概念のせいにはできないのです。




ある挿話を知りました。

神はこの世を創ったとき天使たちを集めてこういった。
「私は自分の姿に似せて人間を創る。彼らは想像性に溢れ、知的で善良だ。神聖なもののすべてが生まれながらの権利として彼らのものになる」
天使たちは言った。
「でも、彼らがその真実を知っていたら、人生がうまくいきすぎて退屈になるでしょう」
「ならば、私はその真実を一番高い山の頂上に隠そう」と神は言った。
「人間たちは簡単に一番高い山に登る方法を見つけるでしょう」と天使たちは言った。
「ならば、大海の一番深いところに沈めよう」と神は言った。
「人間は一番深い大海に潜水する方法を見つけることでしょう」と天使たちは言った。
そのような頭の良い生き物から真実を隠すのはどこがいいかという話し合いに熱がこもっていった。雲の中、月の上、遠い銀河の中…。やがて神はすばらしいアイディアを思いついた。
「わかった。」
「私は真実を人間の心の中に隠そう。そこは彼らがいちばん最後に探す場所だろうから」
天使たちは拍手した。そこで神はそうした。



私たちは真理を求めた果てに立っています。

僕はこの時代に生きる皆と、

今ここから

新しい時代を切り開きたいのです。

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